タイトルの通り、私というのは 本当にどうしようもない人間なのである。それは割り損ねて使いづらい形になった割り箸のように、それはインクが切れて細長い棒と貸したボールペンのように。
私は分相応の欲を持つ人間なのである。たとえば収入が12万であれば11万5000円使うし、27万であれば26万8000円使うような、そんな分相応な人間なのである。稼ぐほど欲深くなり、稼がなければさほど使わない、かといって貯金をする計画性もないような、そんな人間なのである。
お金はあればあるほどいいが、それは将来のため老後のためという今後を見据えた最近の若者らしい目標のためでなく、3万のスニーカーが欲しかったり良いものを食べたかったり遠くに越した人に会いたかったり、果汁100%のオレンジジュースのような酸っぱい欲に溺れた魂の叫びである。昔テレビで見たが、果汁の断面を書いていいのは果汁100%のものだけらしい(本当に?)。ドーパミンに犯されて縮むにいいだけ縮んだ私の脳みそは「果汁率は低いほど美味いよね」なんて言っている。育ちの良い(育ちがいいというか親がスピっている)友人は果汁100%しか飲みたくないと言っていて、「ああ、ね(笑)」となったのを覚えている。こいつにはドリンクバーで失神してほしい。そしてこのいちごミルクより美味い飲み物を私は知らない。

中高の友人が私の大学在学中に仕事に就いていたことは「いや〜お疲れ様っす」なんて他人事に思っていたが、大学も卒業し、文系での進学であったためほとんどの友人は4年で卒業しそれぞれの職に就いた。最初は「いや〜お疲れ様っすVer.2」なんて思っていたが、せっせこビール運んで時給1200円(頑張り度で変化するので最近1260円になった)って何?おれは旧帝大を出ましたが?となってしまい、一度気付いてしまうともうダメだった。このあとすぐ就活エージェントに登録した。
この就活エージェントというのもまたどうしようもなく、私が皆の近況を探るためインスタを見ていたときの広告で出てきた謎の企業であった。人生マジでどうでもいい協会の北海道支部会長として、本気半分面白半分で登録した。本当にヤバければ自分がこの先の犠牲者を減らせるし、良いものであれば自分の将来に繋がるし、人生マジでどうでもいい協会としてはうってつけの条件だと思った。
登録して5分で折り返しの電話が来て、「面談は〇〇日の何時からでお間違いないでしょうか…予約されて当日来られない方も多く…」「真面目な学生さんだと思いますので…」などと電話口のお姉さんが話していた。まずその電話の時には学生ではなかったし、この話の前に「在学中は就活したくなかったんですけど今始めたいと思って〜」などと言っていたヤツが真面目な訳はないのだ。こいつは何も聞いてないなと確信したが、マジで人生がどうでもいいのでそのまま面談の予約をした。
当日になって説明会に参加すると、私のメンターが現れた。上位大学担当、かなりのやり手だった。「なぜ就活をしなかったのか」と再三問い詰められ、その度に「いやなんか気分が上がらなくて…」とアホすぎる返答をした。「まあいいけど…」的な感じでなんとか乗り切り、合計で15社くらい紹介された。どれも福利厚生✨高収入✨️成長意欲✨️といったベンチャー丸出しな企業ばかりであった。
それというのも、「全く知らない人間には人見知りをしないが架空の人格で対応をする」という私の悪い癖が出たためであって、その人には自我強めの体育会系の人格を出してしまい、「その成長意欲良いねぇ‼️」的な反応をされてしまったためである。本当に申し訳ない気持ちもありつつ、私の口は止まらなかった。「皆から1年遅れるのが悔しくて(悔しくない)、少しでも早く結果で勝負したいと思ってます(思ってない)」というような状態になってしまい、完全にスタンド攻撃を受けていていた。(ジョジョの奇妙な冒険 5部より)

もうこれで行くしかない…と腹を括り、面接でもこの人格で勝負するしか無かった。しかし自己分析で浮かんでくるのは拗らせた無能とかいう最悪の人物像だけであって、まあ自分が人事ならこんなの雇わんわな、と絶望する毎日だった。私って誰?という都市伝説的な領域に至り、夜な夜な泣いたりもした。それでも事実10割増エピソードで戦うしかなった。深掘られてもいいように事実をねじ曲げたせいで、事実を少しだけ忘れたりもした。心の底から苦しかった。
ウソの人格で喋れても、私は本当はウソはつけないタイプである。とあるベンチャーの中のベンチャーみたいな企業の一次面接で、かなり人間性の高いウェットな人事が登場したことがあった。持ち駒も半分くらいお祈り爆散し、ヤケクソで就活をしていた頃で、まあいつも通りアドレナリン話術で作り話を繰り広げていた。かなりグっと踏み込まれる質問も多く、「誰がそんなとこまで考えてんねん💢💢」と半ギレで口八丁の回答をし、またそれに突っ込まれるを30分ほど繰り返し、逆質問の時間がやって来た。
「逆質問は評価には含まれない」と魅力的な言葉に絆され、「私ってどこがダメなんですかね」とついつい口走ってしまった。この後もいくつか質問をしたが、要約すれば「いやまあ面接で話したこと全部ウソなんすけど」と言ってるようなものだった。人事は面接時間を30分もオーバーして私の話を聞いてくれた。「僕は面接内容よりも自己紹介とかアイスブレイクの時間が1番貴方が魅力的な人間に見えたよ」「貴方の魅力が生きるのはこの業種じゃない」と言われ、即席お祈りコースが始まった。タメにはなったけど、その優しさが苦しくて悔しくてzoomを切って少し泣いたりもした。
どうしようもない人間なので、MBTIの話を好き好んでする人間を小馬鹿にしつつ、実はMBTIの話が好きだ。MBTIがこれだから〜とか飲み会でデカイ声で話す自称ESFPみたいなのと違って、普通に心理学とかだと思って興味がある。この間までENFP(めっちゃ喋るし動く時間を守れないやつ)だったが、ENTP(めっちゃ暴論で話すし時間守れないやつ)になっていた。就活で人格が変わった。ちなみにENTPは私の知る限り一番どうしようもない人間がなるやつで、私は架空の人格で就活をしてしまったせいでそれになった。なんともやるせない気分だ。ああ、そこの私、MBTIで人を判断するのは良くないですよ。(エグめのベンチャーは選考中にMBTIを聞いてくる)
まあそんなこんなでメンタルも崩れやる気もなくなり、メンターに「個人的に見つけた企業で内定頂いたので」とウソのLINEをし、ブロックからの着拒で全ての就活を終活したのだが、ウソなのでまだ終わっていない。私は心底どうしようもない人間だ。メンターはすごく良い人ではあったし、こんな私とも毎週話をして、楽しかったことも悩んでることも全部聞いてくれて、面接がボロボロでも「企業っていっぱいあるから‼️」と励ましてくれたりもした。でも私はウソつきだから、その真っ直ぐさに耐えられなかった。貴方の前にいるソレは、私じゃなかったんですよ(びっくりだね)。
「私ってどうしようもなくってえ〜(笑)」みたいな逆張りの時期はとうに終わっており、ただどうしようもない部分と毎日向き合って泣き喚いて苦しんでいる。治したいと思うが、治らないとも思う。P型は約束なんて守れないから、もう高収入の都心の企業なんて諦めて地元の企業でいいやと思っている。
地元は狭くて陰湿な街で、私の出身高校(wakatteTVならチリーンと鳴る)を出ていれば東京で言う東大みたいな扱いをされる地域である。この間会った人事も私の高校の1個下のレベルの高校出身で、高校名だけで「優秀だね」と言っていたし、大学名で「なんでウチ…?」と動揺していた。どうしようもない地元である。ただ私もどうしようもないので、小さい世界でお姫様のように可愛がられるならそれでいい。大学一年の時のバイト先の先輩が最近転職してそこで働いていたらしく、面接室に乱入してきたりとかなりめちゃくちゃではあったが、もうここで働けるならここでいいやと思っている。
痛いほど自分の無力さを知って、どうしようもなさを知って、またそうやって狭い場所で返り咲こうとしているのだ。つい先月までは「置かれた場所で咲く」がモットーですなんて言っていたのに、今は咲ける場所を求めている。そんなどうしようもない人間こと、私。